古代哲学について
古代哲学は、西洋哲学の誕生した古代ギリシア、ヘレニズム、古代ローマと時代順に三つの時代に区分される。
今から約2800年前の紀元前8世紀、ギリシアではポリスという小都市の国家が生まれ始めた。それぞれの都市国家は時に同盟を結び、時に戦争をしながら、独自の文明文化を築いた。この時代からヘレニズム時代までの哲学を、古代ギリシア哲学とする。
各ポリスが戦い合い荒廃し、紀元前338年にあのアレクサンドロス大王の父であるフィリッポス2世によって、ギリシアの各ポリスは、ギリシア北部のマケドニアに併合される。それ以降、ローマ帝国に地中海沿岸が併合されるまでの時代をヘレニズム時代という。
紀元前146年にギリシアの全都市がローマ帝国の支配下に置かれ、ヘレニズム時代は幕を閉じる。それから、長きにわたって権勢を誇るローマ帝国時代が始まる。
以下、それぞれを順に見ていこう。
古代ギリシアについて
古代ギリシアの歴史については、こちら↓
この記事では、古代ギリシアの歴史について紹介します。なお、正確な年代が判明していない場合もあります。 紀元前2000年から1200年までのギリシアの文明 ヨーロッパから見て東側、日の昇るところという意味[…]
以下、古代ギリシアに生まれた哲学を紹介する。
古代ギリシア哲学
哲学の始まりを考えるにあたって、哲学とは何かについての記事です。
哲学は古代ギリシアにおいて初めて誕生し、そこで高度な発展を遂げた。この到達点は、二千数百年たった現代でも繰り返し振り返られ続けている。哲学者と呼ばれる人間にとって、古代ギリシアの哲学は基礎的な前提知識であると同時に、批判や深化の対象として思[…]
ソクラテス以前
- ヘシオドス
- イオニア学派
- タレス
- アナクシマンドロス
- アナクシメネス
この記事では、イオニア地方のミレトスで発展した思想とその思想家(タレス、アナクシマンドロス、アナクシメネス)を総称して、イオニア学派とします。これはミレトス派と同じ意味で、Ionian schoolの訳です。 [outli[…]
- ピュタゴラス
前回は、最初の哲学者とされる人々であるイオニア学派を扱った。今回取り上げるのは、数学のピタゴラスの定理で有名な、ピタゴラスが開祖となったピタゴラス派だ。 ピタゴラス派について、まずはなぜ「派」というのかを軽く触れる。 […]
- クセノファノス
- ヘラクレイトス
今回は、有名な古代ギリシアの哲学者であるヘラクレイトスをみていく。ヘラクレイトスは、パルメニデスと対比されながら、その思想が後世に渡って参照され続けている哲学者だ。 そんなヘラクレイトスの考えた万物の原理とは、「火・戦い」である。こ[…]
- エレア学派
- パルメニデス
- ゼノン
今回は、ヘラクレイトスと好対照をなすパルメニデスを祖とするエレア派についてみていく。 パルメニデスはヘラクレイトスと同じように、今までの哲学者たちと異なる思想の枠組みをもつ。今までの哲学者は、万物の原理を求めた。原理はギリシア語でアル[…]
- エンペドクレス
思想的背景、振り返り 前回扱ったパルメニデスらエレア派が、古代ギリシア哲学に与えた影響は大きかった。それまでの哲学者は、現象を支配する根源的な原理を探求した。イオニア学派はそれを、自然の物質とし、ピタゴラスはそれを数とし、ヘラクレイトスは[…]
- アナクサゴラス
アナクサゴラスについて アナクサゴラスは、BC500年ごろイオニア地方で生まれ、BC456年ごろアテナイへ移住し、アテナイの有名な政治家で将軍のペリクレスと親交をもったという。プラトンの著作の対話篇にも、ソクラテスがアナクサゴラスの著作を[…]
- デモクリトス
前回に引き続き、パルメニデスの存在論と現象世界を調停する思想であり、パルメニデス以後の哲学者の仕事の集大成として原子論というものが登場する。この思想は基本的には、エンペドクレス、アナクサゴラスの思想の延長線上にある思想で、彼らと同じく存在者[…]
ソクラテス以後
- ソフィスト
ソフィストとは、紀元前5世紀中頃のギリシアで誕生し、後の古代ローマまでさまざまな形で続いた職業教師である。彼らは、それまでの古代ギリシアの伝統的な教育であったホメロスなどの詩に代わって、新たな事柄を青年に授業料をとって教育した。 この[…]
はじめに 前回の記事で予告したように、今回は個々のソフィストについて紹介していく。 今回紹介するのは、ソフィストの中でも有名な人物で、プロタゴラス、ゴルギアス、アンティポンである。 ソフィストとは何かについては、こちら! […]
- ソクラテス
前回までは、いわゆる前ソクラテス期と呼ばれる、紀元前6世紀から紀元前5世紀初めまでの間に活躍した哲学者を扱ってきた。今回からは、ソクラテスを初めとし、その弟子たちについて扱い始める。 まずは、おそらく哲学者のなかで最もその[…]
前回はソクラテスについて知る方法、ソクラテスの出自、容貌、人柄、周りからの評価などの基本的な情報について触れた。 今回は、そんなソクラテスがどうして裁判にかけられ、死刑判決を受けるに至ったかという裁判の概要を、ソクラテスの[…]
前回は、ソクラテスが訴えられた理由と、それが事実無根であることを述べた。そして、それにもかかわらず、ソクラテスが訴えられたのは、彼が人々、特にアテナイの有力者から恨みを買っていたからだった。そして、その原因は、ソクラテスが始めた対話・問[…]
前回は、ソクラテスが無知の知を自覚するきっかけとなった、デルフォイの神託とその謎、そして自己認識の正当性の条件について論じた。 今回は、ソクラテスにとって、知者であるとは何なのかを論じ、ソクラテスが自身を知者であると評価す[…]
- プラトン
今回からは、プラトンについて扱っていく。プラトンは、哲学史上、おそらく最も重要な哲学者であり、「西洋哲学はプラトンの注釈である」(1-1)とまでいわれるほどである。 そんなプラトンの著作は25巻を超え(1-2)、分野も多岐にわたる。そ[…]
プラトンは自身の著作をほとんど全て対話篇という形式で著した。対話篇とは、登場人物の対話によって、作品が進行していく戯曲・演劇形式である。では、プラトンはなぜこのような形式をとったのか。その意味・意義について、三つに分けて考えてみたい。 […]
今回から、プラトンの思想を初期、中期、後期の順に流れで扱っていく。流れでみていくことによって、プラトンの関心の一貫性と、その関心をもとに思想がどのように展開されていくかがわかるからである。 ということで、今回の記事では、プラトンの初期[…]
今回は、中期プラトンの思想を扱っていく。 この記事では、まず、魂が不滅であることの証明とそれに密接に関係するイデア論を論じ、その後に、魂が善くなるとはどういうことかについて、プラトンが用いた洞窟の比喩を説明することにする。 &n[…]
- アリストテレス